インターネット端末利用営業の規制に関する条例(案)
(目的)
第一条 この条例は、インターネット端末利用営業について必要な規制を行うことにより、インターネット端末利用営業者によるインターネット利用の管理体制の整備の促進及びインターネット端末を利用した犯罪の防止を図り、もってインターネット端末利用営業における健全なインターネット利用環境を保持することを目的とする。
(定義)
第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 インターネット端末利用営業 個室その他これに類する施設であって、その内部の状況を外部から見通すことが困難であるもの(以下「個室等」という。)を設け、顧客に対し、インターネットを利用することができる通信端末機器(携帯電話用装置を除く。以下同じ。)を提供して当該個室等においてインターネットを利用することができるようにする役務を提供することを営業の全部又は一部とするものをいう。
インターネット端末利用営業とは、「個室」で「ネットにつながるパソコン」を使うことができる役務の提供ということですね。
二 インターネット端末利用営業者 東京都の区域内において、店舗(旅館業法(昭和二十三年法律第百三十八号)第二条第一項に規定する旅館業の用に供するその他の東京都公安委員会規則(以下「公安委員会規則」という。)で定めるものを除く。以下同じ。)を設けてインターネット端末利用営業を営むものをいう。
インターネット端末利用営業者とは、東京都の区域内で店舗を設けてインターネット端末利用営業を営む者、ということですね。
(営業の届出)
第三条 東京都の区域内において、店舗を設けてインターネット端末利用営業を営もうとする者は、営業を開始しようとする十日前までに、店舗を設ける場所ごとに、公安委員会規則で定めるところにより、次に掲げる事項を東京都公安委員会(以下「公安委員会」という。)に届け出なければならない。
東京都の条例ですから、東京の区域内に設けている店舗が対象になります。届出は、営業を始める10日前までですね。そして、店舗を設ける場所ごとに届け出る必要があるみたいです。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
二 店舗の名称及び所在地
三 前二号に掲げるもののほか、公安委員会規則で定める事項
2 前項の規定による届出をした者は、当該届出にかかる事項(同項第二号に掲げる事項にあっては、店舗の名称に限る。)に変更があったとき、又は当該届出に係るインターネット端末利用営業を廃止したときは、その日から起算して十日以内に、公安委員会規則で定めるところにより、その旨を公安委員会に届け出なければならない。
届出の変更や営業廃止の場合にも、10日以内の届出が必要みたいです。
(本人確認等)
第四条 インターネット端末利用営業者は、顧客に対し、インターネットを利用することができる通信端末機器を提供して店舗内においてインターネットを利用することができるようにする役務の提供(以下「役務提供」という。)を行うに際しては、運転免許証の提示を受ける方法その他の公安委員会規則で定める方法により、当該顧客について、氏名、住居(本邦内に住居を有しない外国人で公安委員会規則で定める事項)及び生年月日(以下「本人特定事項」という。)の確認(以下「本人確認」という。)を行わなければならない。
お客さんに対して免許証などの提示の方法によって、氏名、住居、生年月日の確認が、事業者側に義務付けられたみたいです。
2 顧客は、インターネット端末利用営業者が本人確認を行う場合において、当該インターネット端末利用営業者に対して、顧客の本人特定事項を偽ってはならない。
お客さんが本人確認について嘘を言ってはいけないとのこと、当然ですね。
(本人確認記録の作成義務等)
第五条 インターネット端末利用営業者は、本人確認を行った場合には、直ちに、公安委員会規則で定める方法により、本人特定事項、本人確認のためにとった措置その他の公安委員会規則で定める事項に関する記録(以下「本人確認記録」という。)を作成しなければならない。
お客さんの本人確認の記録を残す、ということですね。
2 インターネット端末利用営業者は、本人確認記録を、役務提供を終了した日から、三年間保存しなければならない。
本人確認記録の義務保存期間が3年間ですね。
(通信端末機器特定記録等の作成義務等)
第六条 インターネット端末利用営業者は、役務提供を終了した場合には、直ちに、公安委員会規則で定める方法により、顧客の本人確認記録を検索するための事項、顧客に提供した通信端末機器を特定するための事項その他の公安委員会規則で定める事項に関する記録(以下「通信端末機器特定記録等」という。)を作成しなければならない。
お客さんの検索と、使ったパソコンも特定して、記録するということですね。
2 インターネット端末利用営業者は、通信端末機器特定記録等を、役務提供を終了した日から、三年間保存しなければならない。
この記録も3年間の保存義務があるわけですね。
(インターネット端末利用営業者の責務)
第七条 インターネット端末利用営業者は、顧客が入力した情報を他人が不正に利用することできないようにする機能を有するソフトウェアを備えた通信端末機器の提供、防犯カメラの設置その他の当該インターネット端末利用営業が犯罪に利用されることを防止するとともに、顧客が安心して役務提供を受けることができる環境を整備するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
お客さんがパソコンに入力した情報の不正利用の防止や防犯カメラの設置などの努力義務ですね。
(指示)
第八条 公安委員会は、インターネット端末利用営業者が、当該インターネット端末営業に関し、第三条、第四条第一項、第五条、第六条若しくは第十条第四項の規定に違反したとき、第十二条第一項の規定による報告若しくは資料の提出を拒み、若しくは同項の規定による報告若しくは資料の提出について虚偽の報告をし、若しくは虚偽の資料を提出したとき、又は同条第二項の規定による当該職員の質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、若しくは立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したときは、当該インターネット端末利用営業者に対し、当該違反行為の再発を防止するため必要な指示をすることができる。
インターネットカフェの事業者に条例違反があれば、公安委員会は必要な指示ができるということですね。
(営業の停止)
第九条 公安委員会は、インターネット端末利用営業者が、前条の規定による指示に従わなかったとき、又は当該インターネット端末利用営業に関し第十四条(第三項第一項を除く。)に規定する罪に当たる行為をしたときは、当該インターネット端末利用営業の全部又は一部の停止を命ずることができる。
公安員会の指示に従わないとき、または罪にあたる行為をしたときは営業の全部又は一部の停止を命ずることができるようです。
(標章のはり付け)
第十条 公安委員会は、前条の規定により営業の停止を命じたときは、公安委員会規則で定めるところにより、当該命令に係る店舗の出入口の見やすい場所に、公安委員会規則で定める様式の標章をはり付けるものとする。
営業停止になった場合には、標章をはり付けるわけですね。
2 前条の規定による命令を受けた者は、次の各号に掲げる事由のいずれかがあるときは、公安委員会規則で定めるところにより、前項の規定により標章をはり付けられた店舗について、標章を取り除くべきことを申請することができる。この場合において、公安委員会は、標章を取り除かなければならない。
一 当該店舗を当該インターネット端末利用営業の用以外に供しようとするとき。
二 当該店舗を取壊そうとするとき。
三 当該店舗を増築し、又は改築しようとする場合であって、やむを得ないと認められる理由があるとき。
標章を取り除くことができる場合が上の3つの場合ですね。
3 第一項の規定により標章をはり付けられた店舗について、当該命令に係るインターネット端末利用営業者から当該店舗を買い受けた者その他当該店舗の使用について正当な権原を有する第三者は、公安委員会規則で定めるところにより、標章を取り除かなければならない。
他の人に店舗の権利が移れば、標章を取り除ける、ということですね。
4 何人も、第一項の規定によりはり付けられた標章を破壊し、又は汚損してはならず、また、当該店舗に係る前条に規定する命令の期間を経過した後でなければ、これを取り除いてはならない。
標章は破壊や汚損をしてはならず、営業停止期間を経過した後でないと、取り除くことはできない、ということですね。
(聴聞の特例)
第十一条 公安委員会は、第九条の規定により営業の停止を命じようとするときは、東京都行政手続条例(平成六年東京都条例第百四十二号。以下「行政手続条例」という。)第十三条第一項の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない。
公安委員会は、営業の停止を命じようとするときは、意見陳述のための聴聞を行わなければならない、ということです。
2 公安委員会は、聴聞を行うに当たっては、その期日の一週間前までに、行政手続条例第十五条第一項の規定による通知をし、かつ、聴聞の期日及び場所を公示しなければならない。
公安委員会は、聴聞を行うためにその期日の1週間前までに通知をし、かつ聴聞の期日と場所を公示する、ということですね。
3 公安委員会は、前項の通知を行政手続条例第十五条第三項に規定する方法によって行う場合においては、同条第一項の規定により聴聞の期日までにおくべき相当の期間は、二週間を下回ってはならない。
東京都行政手続条例第十五条第一項(抜粋)
第十五条 行政庁は、聴聞を行うに当たっては、聴聞を行うべき期日までに相当な期間をおいて、不利益処分の名
あて人となるべき者に対し、次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。
一 予定される不利益処分の内容及び根拠となる条例等の条項
二 不利益処分の原因となる事実
三 聴聞の期日及び場所
四 聴聞に関する事務を所掌する組織の名称及び所在地
この「相当期間」が二週間を下回ってはならない、ということですね。
4 第一項の聴聞の期日における審理は、公開により行わなければならない。
聴聞は公開される、ということですね。
(報告及び立入り)
第十二条 公安委員会は、この条例の施行に必要な限度において、インターネット端末利用営業者に対し、その業務に関して報告又は資料の提出を求めることができる。
公安委員会は、インターネットカフェの事業者に対して、業務報告や資料の提出を求めることができるわけですね。
2 警察職員は、この条例の施行に必要な限度において、インターネット端末利用営業者の店舗その他の施設に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査し、又は関係者に質問することができる。
警察職員は、必要がある場合には、店舗や施設への立入り、帳簿、書類の検査、関係者への質問をすることができる、ということですね。
3 前項の規定により警察職員が立ち入るときは、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
警察職員が立ち入るときは、身分証を提示するわけですね。
4 第二項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
第二項の権限は、犯罪捜査のために認められたものではないわけですね。
(委任)
第十三条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関して必要な事項は、公安委員会規則で定める。
(罰則)
第十四条 第九条の規定による公安委員会の命令に違反した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
営業停止の命令に違反した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金、ということですね。
2 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰則に処する。
一 第三条第一項の規定による届出をせずにインターネット端末利用営業を営んだ者又は同項の規定に違反して虚偽の届出をした者
届出をしなかった場合と虚偽の届出をした場合に、30万円の罰金ですね。
二 第三条第二項の規定に違反して届出をせず、又は虚偽の届出をした者
届出内容の変更や廃業の届出をしなかった場合と虚偽の届出をした場合に、30万円の罰金ですね。
3 次の各号のいずれかに該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。
一 本人特定事項を隠ぺいする目的で、第四条第二項の規定に違反した者
顧客が本人確認を偽る場合に、20万円の罰金ですね。
二 第十条第四項の規定に違反した者
営業停止の表彰の破壊、汚損、取り除きの場合には、20万円の罰金ですね。
三 第十二条第一項の規定による報告若しくは資料の提出を拒み、若しくは同項の規定による報告若しくは資料の提出について虚偽の報告をし、若しくは虚偽の資料を提出し、又は同条第二項の規定による当該職員の質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、若しくは立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
公安委員会への報告と資料提出を拒むこととそれらの虚偽、警察職員の質問、立入り、検査を拒んだり、妨げたり、それらの虚偽、がある場合に20万円の罰金ですね。
(両罰規定)
第十五条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前条(第三項第一号を除く。)の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対し、同条の罰則刑を科する。
法人の代表者、法人、人の代理人、使用人、従業者が業務に関して違反行為をした場合には、行為者とその法人又は人についても罰則刑を課する、ということですね。
(施行期日)
1 この条例は、平成二十二年七月一日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の際現に東京都の区域内において、店舗を設けてインターネット端末利用営業を営んでいる者の当該インターネット端末利用営業に対する第三条第一項の規定の適用については、同項中「営業を開始しようとする日の十日前」とあるのは、「平成二十二年七月三十一日」とする。
3 前項に定めるもののほか、この条例の施行に関して必要な経過措置は、公安委員会規則で定める。 |